アラフォー女子大生キャリアカウンセラー日記

心理学を学んだり、キャリアカウンセリングしたり、ポスクロやったり、最近はスプラ2もやってます。

転職・就職活動時に考えておきたい、みなし残業手当(固定残業代)

採用担当だった頃は、内定者を口説くための視点で会社を見ることが多かったように思います。みなし残業手当(固定残業代)についても同じで、労働者側のメリット中心に語っていたような気がします。
メリット中心に伝えていた理由については今回の記事にはあまり関係がないのですが、最後の方に少し書きます。

今回転職活動をしてみて、求職者側の不安や迷いを知ることができたので、今回はその視点で何を考え決断したかを書いていきたいと思います。

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そもそも、みなし残業手当(固定残業代)って?

求人情報を見ていると給与(月給)の欄に補足として

みなし残業手当(〇万~〇万円/40時間)を含む

固定残業時間45時間分/〇万〇千円~〇万〇千円含む

と書かれている会社、結構ありますよね。

ざっくり書いてしまうと、その時間分の残業をしてもしなくても支払われる手当です。基本的には、その時間以上の残業が発生した場合にはその分も支払われます。
超過分の残業手当の支払いについては、一部の職種で例外があります。気になる方は下記をご覧ください。また、不安でしたら条件面談の際などに人事の方に確認してください。
みなし労働時間制 - Wikipedia

労働者側の一番のメリットは、残業が少ない月でも一定額の給与が入ってくることだと思います。

でもそれだと会社は支払わなくてもいい残業代を払っていることになりますよね? では、企業側にはどんなメリットがあるのでしょうか?

色々あるのですが、人材採用時に限定すると"給与額を多く見せることができる"というのがメリットのひとつではないでしょうか。

転職・就職活動時に冷静に考えておきたい、みなし残業手当の話

転職ナビサイトの求人をいくつか見てみたのですが、ほとんどの企業がみなし残業手当がありました。20~45時間分の会社が多いようです。

そして「平均残業は20時間以内です」等、みなし残業の時間より少ないことがアピールされています。…本当に…?

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自分の転職活動で考えたみなし残業手当の話

私の転職活動の話をしたいと思います。

A社の給与額には40時間分のみなし残業手当が含まれていました。人事の方からは「配属予定の部署は月10時間程度しか残業はありません」と案内されました。

賞与を含めても希望年収より若干少ない…。でも私の希望する業界・職種は賃金が低めだし、こんなもんか…。月10時間の残業なら…。アラフォーで未経験だし、ぜいたくは言えないな…。

こんなことをぐるぐるぐるぐる考えていたのですが、ふと「毎月40時間の残業があったとして、この給与で納得できるのか?」と考えました。

答えは「NO」でした。

1:「その時間分の残業があったとして…」とシンプルに考えてみる

今回の私がそうでしたが、平均残業時間は…という情報はあまりうのみにせず考えてみました。

現状10時間くらいの残業だったとしても、業務の状況が突然変わる可能性もあります。異動や職種変更の可能性もあります。それによって残業が増えることも十分考えられます。

会社の規程で40時間までのみなし残業手当と定められている以上、入社後「残業10時間くらいって聞いてたのに、40時間残業してこの金額なんて!」と文句を言うことはできません。

みなし残業分の時間働いてこの給料…と考えて納得できるか? 一度シンプルに考えてみてもいいかもしれません。

2:みなし残業手当が廃止された場合の給与額を考えてみる

労働者に対する不利益変更に当たる可能性があるので、簡単にはなくせないと思いますが、業績悪化などの場合にはみなし残業手当が廃止されるかもしれません。

なかなかないケースだと思いますが、検討材料として考えてみてもいいかもしれません。

参考:固定残業代の撤廃 - 『日本の人事部』

3:時給だといくらか計算してみる

これは、みなし残業手当がない会社でもおススメの方法です。

時間給がいくらかわかれば、転職の場合は前職(現職)、内定が複数出ている場合にはそれらの企業の給与と比較することができます。

前職と同じ、もしくは低い給与だったとしても、所定労働時間が少なかったり休日数が多い場合には一時間当たりの給与は上がっているケースもあります。

基本的には、基本給(みなし残業手当を含まない)÷月の所定労働時間、で計算できます。会社によって月の所定労働時間が異なるので、気になる方は条件面談の際などに確認してみてください。会社によって結構差があります。

転職サイトに掲載されている企業の月給を数社、時給計算してみましたが…最低賃金の会社もありました…。

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話は戻って…私の出した結論

40時間の残業があったとしてこの給与額で納得できるのか…と想像して「NO」という答えが出てしまった以上、この企業で働くことは無理だと感じ辞退しました。

その後受けたB社は、提示された月給はA社より少なかったのですが…

  • みなし残業手当の制度がない(残業分がそのまま時間外手当として支給される)
  • 休日数がA社より多い(月の所定労働時間が少ない)
  • 時給を計算したところA社より数百円高い

マイナス点としては、

  • 契約社員雇用ということもあり、賞与は少ない(A社は正社員雇用で賞与額はB社よりだいぶ多い)

という待遇でした。

この時点でB社の方が好印象だったのですが、一応次のことを想像してみました。

  • 残業が全くなかったとしてこの給与でやっていけるのか
    →ぜいたくをしなければやっていける。自分の時間もできるからマイナスというわけではない。
  • 20時間くらい残業があるかも…とのこと
    →20時間くらいなら平気だし、毎月20時間だとしたら…年収ベースでA社より高くなるな…。
  • もし40時間残業があったとして…(あるとは聞いておらず、単純にA社との比較)
    →給与がさらに上がるから全然OK!

あら、ますます好印象…。

業務内容や配属先、会社の規模なども考え、最終的にB社への入社を決めました。 

番外編:人事時代の思い出~みなし残業手当に対してメリットしか感じなかった理由

今回は求職者(労働者)側の立場でみなし残業手当についていろいろ考えましたが、人事時代には労働者にとってメリットの多い制度だと思っていました。

私がいた会社では、途中からみなし残業手当を導入しました。
当時、社長や人事は残業を減らしたいと動いていたのですが、社員からは残業が減り給与が減ってしまうのは厳しいという声もあがりました。また、残業が少なくてもしっかり仕事をし成果を上げている社員もいます。基本給をこの段階で上げることは難しいけれど、給与を減らさずに、時間内で仕事を終わらせようと努力している社員も報われるように…と考え、みなし残業手当を導入しました。

その経緯を知っていること、また次に転職した会社でもみなし残業以上の残業をしている社員がほとんどいなかったことから、従業員のための制度だという認識でいました。

そういう会社ばかりではないですし、労働者にとって一番いいのは基本給が高く、残業が少ない会社…なんですけどね。