アラフォー女子大生キャリアカウンセラー日記

心理学を学んだり、キャリアカウンセリングしたり、ポスクロやったり、最近はスプラ2もやってます。

犯罪被害者心理学が学べる漫画2作

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通信制大学の科目のひとつで犯罪心理学を学んでいます。犯罪心理学というと、プロファイリングだとか、凶悪犯罪や猟奇殺人の犯人の生い立ちなどを思い浮かべられるかもしれませんが、私は犯罪被害者心理学、そして犯罪加害者心理学を学んでいます。

最近読んだ漫画の中から、犯罪被害者心理学について学べる2作品をご紹介します。

児童相談所で働く人びとの葛藤、そして被害にあっている子どもたちについて考えられる『ちいさいひと』

舞台は青葉児童相談所。虐待などの被害にあっている子どもたちを保護し、その家族を見守る仕事(児童福祉司、児童心理司、保育士)をしている人びとのお話です。

DVやネグレクトも犯罪だが、犯罪と認識されにくい

"犯罪被害者心理学"と聞き最初は殺人や性犯罪の被害者ばかりをイメージしていました。ところが授業では、DVやネグレクト(育児放棄)についての話が多くありました。最初は「これが犯罪心理学?」と不思議に思ってしまいました。けれどちゃんと考えれば、家庭内であっても暴力は犯罪だし、暴力を振るわれた人は被害者ですよね。またネグレクトだって、育児を受けなければ健全に育つことができない子どもへの精神的・身体的暴力です。

先生の言葉にもありましたが、家庭内で起こっていることは犯罪と認識されにくいけれど、これだって犯罪なんだ、と。私も無意識のうちに犯罪ではないと思っていたことに気付き、恐ろしくなりました。

心理学用語も豊富なので学びのきっかけとして

この漫画では、恐怖体験の克服(津波ごっこなどのごっこ遊びを通して)、凍りついた瞳、共通の敵など、初めて知ることもあり、その後ドキュメンタリーやドラマなどで似たような場面を見てハッとしました。

この漫画を読み、気になった言葉や状態をさらに調べる・学ぶという、きっかけとしてもお勧めな漫画です。

辛いけれど、希望の光が見える漫画

とても辛いシーンが多く、泣きながら読みましたが、前向きにな終わり方をしているお話ばかりです。実際にはこんな風にならずに、辛い結果になることも多いんだろうな…と思うと、胸が苦しくなります…。

 

実際に犯罪被害者家族となった方が描かれた漫画『家族がいなくなった日 ある犯罪被害者家族の記録』

お父様を強盗殺人事件で亡くされた方が描かれたコミックエッセイです。事件後のPTSD発症、退職せざるを得なくなった仕事、裁判、心理カウンセリング、周囲の方々とのエピソードなど。

犯罪被害者に合うとどうなるのか? 二次被害とは?

犯罪被害者心理学を学んで一番悩んだのは、友人知人そしてその家族が被害にあったとき、私は何ができるんだろう、何を言えばいいんだろうということでした。

犯罪心理学の授業では、カウンセラーである先生からカウンセリングに通われている被害者の方々のお話を聞き、被害者家族のドキュメンタリーを見ました。仕事もできない、電車に乗れない、楽しいという感情が持てない、家族がバラバラになってしまう…など、想像を絶する二次被害の数々を知りました。話を聞くだけでもこんなに苦しいのに、実際にそんなことになったら…。

ドキュメンタリーでは「励ましの言葉にひどく傷ついた」というエピソードが流れました。「励ましでそんなデリカシーのないこと言うなんて!」と思うような言葉も多かったのですが、「じゃあ私はそんなとき適切な言葉を言えるのか…?励ましのつもりで言った言葉が逆に傷つけることになるかも…」そう思ったらとても怖くなりました。

犯罪被害者家族の環境や心境の変化を知ることができる漫画

普通に暮らしていると、被害者になったときの気持ちや辛さはわからないと思います。想像以上の辛さなんだろう…ということくらいしか…。

今田たまさんが描かれたこの漫画は、被害者ご家族の心境の変化が当事者の視点で描かれている、数少ない書籍です。

 

※2016年10月12日時点、Kindle Unlimited対象です。

 

最後に(二次被害について)

言葉は、我々が普段コミュニケーションの手段として使っているだけに、知らず知らずのうちに他人を傷つけているということに気づきにくいものです。しかも二次被害の原因となるのは「あんな事件に遭うのは因果応報だ」とか「あんな格好をしているから犯罪に巻き込まれるんだ」、「夜、一人歩きするから当然だ」などの被害者に責任があるような言い方や普段でも傷つきそうな言葉だけではありません。

「いつまでもくよくよしないで、早く事件のことは忘れなさい」「これも運命だから」「思ったより軽くて良かった」「元気を出して」「子どもの分まで生きて下さい」「しっかりしなさい」「頑張って」などのように普段ならば何とも思わずに聞き流してしまうような言葉や言った側としては「早く立ち直ってもらいたい」と励ましたつもりでも、被害の後の傷ついた心には引っかかったり、引きずったりすることも多いようです。

二次被害についてわかりやすく書かれたサイトからの引用です。

「二次被害」てご存知ですか? | 被害にあわれたあなたへ | 公益社団法人 大分被害者支援センター

これを知っているだけでも、だいぶとらえ方が変わると思います。